地域医療政策セミナー、2講座とも地域包括ケア社会に言及。

先月の研修の報告です。

10月26日(木)の午後1時から、東京都千代田区にある都市センターホテルで、全国自治体病院経営都市議会協議会主催の第13回地域医療政策セミナーが開かれ、2つの講演が行われました。
北は北海道から南は九州までの自治体病院を持つ市の議員と議会事務局、自治体立病院等の病院職員だけでなく、市民健康の担当課の職員も参加して会場は満席でした。
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「当院の経営再建のアプローチとその成果」

美濃市立病院病院長 阪本研一氏
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美濃市立病院は平成29年度自治体立優良病院総務大臣表彰を受賞しました。
 医師・看護師とも岐阜県下で最小、全国レベルではかなり不足している、他の頑強な病院に近接し、患者が流出している医療圏という立地条件で、存在価値が示せなければ生き残れないうえ、市町村合併への不安もあったとのこと。
職員には「業務改善」の気風も仕組みもなかった中で、病院長として経営改革に取り組みました。講演では病院の基本改革をつくったころのこと、病院サイドから見た行政・議会に力を貸してほしいことが話されました。
人口2万2千人の美濃市内で唯一の病床を持つ地方公営企業法一部適用の病院、平成15年に病院を新築移転した当時、医業収支比率は82.4%(前年度比マイナス21.4%)、経常損益マイナス4億8千万円という危機的状況だった。
「地域から選ばれる満足度の高い医療サービスの提供」との理念は病院存続への強い危機感を反映したもの。
5つの基本方針として
 ①地域医療機関との連携、
 ②計画な方針による効率的な病院運営、
 ③自治体病院としての地域社会への貢献、
 ④患者の権利を尊重した患者中心の医療提供、
 ⑤医療水準向上のための努力、
を掲げたのはそれらが出来ていなかったから。
自治体病院の組織を強化し、専門併設型地域包括ケアシステム病院の方向性を打ち出し、市長にプレゼンテーションし市長の強力な応援のもとに改革を進めることができたとのことです。
自治体病院の「経営力」は、病院・自治体・地域住民(議会)の3つの総合力で形成されるもの。
民間病院がやらない不採算部門を持つ自治体病院を守るためには、地域住民が正しく医療機関を使う、健康寿命を延ばすために必要な知識を持つことなども重要なことです。
最後に行政・議会に対して、地域医療の確保・地域の社会保障費の適正化・まちづくりのために声を上げていただきたい―と締めくくりました。

「少子高齢化・人口減少時代に求められる
医療・介護の本当の姿とは
~いま夕張市に学ぶこと~」

南日本ヘルスリサーチラボ主催者 森田洋之氏
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講師は一橋大学経済学部を卒業後、宮崎医科大学医学部に入学という経歴。
平成21年に財政破たんした夕張市(高齢化率約50%)の市立診療所に勤務しつつ、東京大学大学院で夕張市の環境変化について研究。
論文「夕張市の一人当たり高齢者診療費減少に対する要因分析」を発表し、昨年は日本医学協会ジャーナリスト協会優秀賞受賞。現在は鹿児島で研究・執筆・診療を中心に活動をしています。
現実を見極めるため経済学の観点を入れ多くの統計をもとに診療所の運営にあたったとのこと。
夕張市立病院の閉鎖で診療所となり医療難民が増えるかと思いきや、患者個人々々の生活支援に重点を置くことにより医療費削減や救急車利用減などができたことが話されました。
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末期がんで管につながれ寝たきり状態の患者が施設に入居しケアされることで自分で食事をするなど元気になった事例や、ビールを飲ませたら今度は居酒屋に行きたいと講師と赤ちょうちんに行って1週間後に亡くなった事例など、医師として患者との信頼関係を築き生活支援をする中で命を全うする様子が語られました。
医療として正解であることが患者にとってどうなのかとの投げかけがありました。

両方の講演とも、今後を見据えた自治体病院の立ち位置や地域包括ケア社会の在り方に言及。
急激な高齢化と少子化の中で、医療の役割と自治体病院の意義など、市民・行政・議会が共有することが必要だと感じました。
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  1. 2017/11/18(土) 18:12:05|
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